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『攻めの加藤ヨセの加藤 ~加藤正夫名誉王座の棋歴~』

 昨日は、引越し費用や引越し先の家賃の事で頭が痛いなんて思っていたら、本当に頭痛になってしまいました^^;
頭がガンガンして吐き気をもよおす様なひどい頭痛で、仕事から帰って早々に寝てしまいした。

 今日はたいぶすっきりして、遅ればせながらNHKで1月30日に放送された『攻めの加藤ヨセの加藤 ~加藤正夫名誉王座の棋歴~』を観ました。
 本当はこの番組は、今更やらない方いいんですよね…こんなにも良い番組は、本当なら、加藤さんの生きているうちにやっておかないといけないんですよ!!

 さて、出演者は、大竹英雄九段、石田芳夫九段、趙治勲九段、小林光一九段、武宮正樹九段と木谷一門の豪華な顔ぶれで、内容もこれまた豪華でした。それに加えて解説も楽しく、あっという間の一時間四十分でした。しめっぽくしないしないという配慮なのか、みなさんとても明るく、よく話をされていました。本当にいい番組でした。
出演棋士の自戦解説5局は、次のとおりでした…

①第1期 碁聖戦 五番勝負 第5局(自戦解説:大竹英雄 聞き手:武宮正樹)
 加藤さん追悼番組だからといっても、悪い手は悪いという忌憚のない感想は大竹さんらしく、とても好感が持てました。故人を褒め称えて終わり・・みたいなのは、かえって故人に対しても失礼だと思います。とくに、碁に関して真面目な加藤さんに対してなのだから、なおさらです。もちろん良い所はちゃんと誉めていました。大竹さん曰く「加藤さんには威圧感があり、踏み込むと殺されそうで、踏み込んでいけなかった」と、冗談ながらにおっしゃられていました^^

②第32期 本因坊戦 七番勝負 第1局(自戦解説:武宮正樹 聞き手石田芳夫)
 解説が武宮さんなんですけど、石田さんはよくしゃべってましたね…どっちが解説でどっちが聞き手なんだかと思えて、ちょっと可笑しかったです^^

③第33期 本因坊戦 七番勝負 第7局(自戦解説:石田芳夫 聞き手:趙治勲)
 この対局では、『攻める棋風』の加藤さんと『攻めさせる棋風』の石田さんの立場が逆転してしまった面白い碁でした。聞き手の趙さんが、解説の石田さんの手を批判してイジメていたのには、思わず笑ってしまいました。

④第21期 十段戦 五番勝負 第5局(自戦解説:趙治勲 聞き手:小林光一)
 この第21期十段戦では、加藤さんが勝った3局を全て半目勝ちでタイトルを獲ったという本当にめずらしい対局で、『一目半でタイトル奪取』といわれていたそうです^^
私が打つ時は、半目で勝っても負けても運の良し悪しでかたずけてしまいますけど、プロの方達は、半目差でも形勢の動かない厚い半目勝ちっていうものがあるのだという事を知りました。

⑤第11期 名人戦 七番勝負 第4局(自戦解説:小林光一 聞き手:大竹英雄)
 この解説で、加藤さんの棋風について、大竹さんは「加藤君は、ちょっとあまそうにみえるけど、厚い碁が好き」。小林さんは「手厚く打ておいて、後で力を出す勢力派の碁」とおっしゃってました。加藤さんは、低段の頃から藤沢秀行さんにたくさんの早碁を打っていただいた、と本で読んだ事があります。きっと、その影響を受けているんですね。
 解説の中で、ポロっと大竹九段のおっしゃられた「残念だよな、(加藤さんと)打てなくなるの・・・」という言葉は、とても印象に残りました。思わず口をついて出た、棋士としての切実で正直な飾り気のない想いだと思いました。あぁ、もう加藤九段とは打てないんだという想いは、その対局を観る側の我々よりも、同じ勝負に生きる大竹さん達の方が、より一層感慨深いものがあるんですね・・・。

 最後に大竹さんがおっしゃった、「(加藤さんは、)先輩からは可愛がられ、同輩からは尊敬され親しまわれて、後輩からは慕われていましたから・・・。日本棋院としては…囲碁界としては、大きなものを失った。本当に悔しいが、受け止めて生きていきたい」という言葉は胸に染みました。最初のうちは笑っていた私も、最後の方では涙が止まりませんでした。加藤さんは、きっと天国で過去の大棋士達や木谷先生と碁を楽しんでいることだと思います。私も加藤さんの遺した、棋譜や棋書で勉強してもっと強くなりたいです!
by kozakura4649 | 2005-02-01 22:00 | ●小桜の囲碁日記
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